今日のVERITAS

「こんな塾が欲しかった」

「大学受験にあたって理論から学べる塾を探していた」先日行われた受験科説明会のアンケートに書かれていた高校2年生の言葉。「高三で受験に全てを費やすのは僕はもったいないと思う」昨年受験をしたヴェリタス卒業生の言葉。京大前総長 山極寿一氏は「難関大目指し競わせる高校でいいのか」と義務教育、高校教育のあり方を問う(14日朝日新聞『科学季評』)。2022年の文科省の調査によると、不登校の小・中学生は前年比22%増の約30万人、高校生は19%増の6.5万人。一方、フリースクールは卒業しても大学資格はなく授業料免除もないが、すでに全国で一千校以上あり年々増える状況だという。「大学進学よりむしろ好きなことを自由にできる環境を選ぶ子どもたちが増えているのではないか」と。受験にあたって理論から学びたい、高三を受験だけに費やすのはもったいない、自分が好きなことを実現するには今の制度は合わない。子供達はすでに気づき発信し、行動を始めているのではないだろうか。折しも12月10日のAERA .dotにQuizKnockの伊沢拓司さんのインタビュー記事が載った。以前ヴェリタスの受講生だった伊沢氏、ヴェリタスの英語は「哲学の授業みたいだったけど面白かった」と語る。ヴェリタスはその創設から、講師たち自身が中高生のころを振り返り「こんな塾が欲しかった」と言う思いを形にしてきた塾だ。これからも人が自然に抱くはずの「なぜ?」に蓋をすることなく、各自の疑問や気づきを解き放ち、受け入れ、広げていける塾でありたい。

2023-12-21T14:19:41+09:002023年12月20日|

対話

「物理わかる先生いますか」「⚪︎⚪︎先生、今忙しいですか」ヴェリタスではこんな声が日常的に聞こえてくる。「今から質問に行ってもいいですか」と授業のない日も質問に来る生徒もいる。受付横の講師室の壁には自由に使えるホワイトボードがあり、ヴェリタスを象徴するオープンスペースとなっている。講師も授業準備やら自分のことで忙しいものの、よほどのことがない限り生徒たちの質問に応じる。一緒に問題文を読み、問題の意味を把握するところから「ここはこうなんじゃないか」「なんでこんなふうに考えたの?」など対話が始まる。時には通りすがりの講師や生徒が「なになに?」とのぞきに来る。 わからないことはググればいい便利な時代だが、一方的に「教えられる」「答えてもらう」だけでなく、自分がなぜそう考えたかを聞いてくれる相手の存在によって、互いに自らの考えを別の視点から見直すチャンスを与えられている。「なるほど、君はそんなふうに考えるのか」と。 対話とは、自分自身がまず徹底的に考えてそれを相手と擦り合わせていくことだという。自分(自国)の正義を押し付け、それに反するものを排除する対話なきやり取りがいつの間にか大きな戦争に発展している昨今、ヴェリタスに集う子供たちには、さまざまな人たちとの対話の体験を積み重ねていってほしいと願わずにはいられない。まずは今日の疑問をそのままにせず、講師に友達に問いかけてみよう。

2023-12-06T09:19:07+09:002023年12月5日|

異文化と童心

発端は先日、英語科講師の数人で連れ立って、いたばし花火大会に出かけた時のことである。俳句歴七年目の俳人の端くれである私は、「花火」と聞けば即俳句モードに入る(花火は夏の季語である)。当初、私は自分だけこっそり作って満足するつもりだったのだが、周りの講師に俳句を作ることを伝えると、瞬く間に皆で俳句を作る話になったのである。私以外は皆全くの素人ということで、皆が二、三句作ってみて、私がそれらの句を添削する、某番組のような会になった。そしてこれがまさかの好評。この戯れに味を占めた我々は第二回を開催すべく、講師室にかき氷機を持ち込んだ―― そして本日のかき氷俳句大会である。俳句を詠むならばかき氷が食べられる、というアグレッシブなレギュレーションにも拘らず、講師・生徒の垣根をまたいで前回以上の参加者が訪れた。ある英語講師などは花火の時の反省を活かすべく、俳句の入門書まで購入して武装してきたのには全く驚いた。かかる努力の成果もあり、私を含め皆悪戦苦闘しつつも、結果的には前回の倍近い句が発表され、実りのある会になった。その格闘の一方で、かき氷だけ食い逃げする不埒な大人が居たのも事実だが。 私はしばしば、VERITASというコミュニティに属する人間の「異文化」に対する受容力と貪欲さに驚かされる。ここでの「異文化」とは、各個人がそれまでの人生で触れることのなかった分野のことだ。言い換えれば「不案内な領域」であろうか。学校の勉強内容や受験対策としての勉強内容も「異文化」に含まれるといってよい。VERITASの人間はこの「異文化」に対する悪い意味での抵抗が殆どないように思えるのだ。普通なら私が人に俳句を作ることを伝えても、概ね興味を示されないうちに話題が変わる。花火大会を前に「じゃあ試しに一句作ってみるか」と、得体のしれない詩の世界に挑戦してみるなどあり得ないというのが、長年俳句布教の難航に悩んできた私の所感だ。本来であればかき氷だけ食い逃げするのが当たり前であり、あろうことか自発的に俳句を勉強してくる方が酔狂なのだ。「異文化」との間には程度の差こそあれ、それなりに高い壁があるのである。しかし、VERITASにはそんな壁はない。「異文化」に接する態度が恐ろしくポジティブで、かつ誠実である。これはきっと、年をとるにつれて薄れていきがちな、純粋で原初的な知的好奇心を保ち続けているからであろう。この姿勢を一言で表すなら「童心」ではないか。童心を存しているか否かで、日々の心の豊かさは大きく変わる。知的な喜びの根源であると同時に、経年劣化に弱いその姿勢を、VERITASは忘れていない。(英語科 佐々木)

2023-08-11T17:21:43+09:002023年8月11日|

横にいる友と

受験生にとって、春からやってきたことの結果が目に見えて出はじめる時期になった。思うようにいかず、自分の勉強の仕方が間違っているのかと悩みに陥る人も多い。こうした悩みは人それぞれで、他の人と共有することがとても難しい。 自分みたいなおせっかいな講師は、ついつい声をかけて相談に乗りたくなる。しかし、生徒を本当に支えているのはそういった直接の相談ではない。 授業のない時間、ふとした瞬間に、半分雑談のように、最近の悩みや、分からないことを話す。講師と生徒の区別なく、自然に会話が発生する。そうした空気感の中で、自分の悩みを相対化できることが、打開につながっているのだ。他の受験生が何に悩み、どう闘っているか。ヴェリタスの外に出てみると、これを知る機会は意外と多くないと気づく。 結局自分に合ったやり方というのは、自分にしか見つけられない。講師として、先輩として、その助けになれればと思う。でも本当に必要なのは、前で導く人の言葉ではなく、横にいる人たちの姿だ。(U4担当 佐々木)

2023-06-08T15:25:27+09:002023年6月8日|

分からないことがゼロになるまで話せる友を

1月22日を皮切りに、来年度基礎科のカリキュラム説明会が始まった。3月からの入塾に向けて、小学校卒業前から中学入学後そして将来を見据えた塾選びのために、足を運んでくださる保護者の方々には敬意と感謝の気持ちが湧いてくる。限られた時間の中で何をどのように感じていただけるか、を考えるのは授業も説明会も変わりはない。自分は他塾の説明会を主催したことはないので比べることはできないが、少なくともヴェリタスでは、講師の発する言葉や態度、会場の雰囲気などから、私たちが日頃から大切にしている「率直さ」「誠実さ」「等身大さ」を感じていただけるものでありたいと思っている。分からないことを「分からない」と言える教室、各自の疑問を誤魔化さず納得するまで追究できる仲間、そして自分を大きくも小さくも見せずありのままを受け止め、そこからスタートする習慣を身につけることなど。たかが塾、されど塾。“受験にどんな手段を使っても構わないか”“合格のためならこの一年を棒に振ってもいいのか”“わけがわからなくても丸暗記して合格点が取れれば良いのか”。一つでも「否」という答えが心に浮かぶ人はヴェリタスにきっと向いているはずだ。中学生、高校生という人生で最も自由に過ごせるはずの時期に「合格率」や「偏差値」など「数」を上げるためだけに時間を使わせて良いのだろうか。今回の説明会でも卒業生に体験談を話してもらった。ヴェリタスに入って一番良かったことは「わからないことがゼロになるまで何十時間でも話せる友達に出会えた」こと、そんな友達とは「勉強で真剣に話し合えるからこそ人生についても真剣に話し合える」と話してくれた。その上で「真剣に話し合ったからといって成績が飛躍的に伸びるわけでも、難関大学の合格が保証されるわけでもない、それでもここでしか得られなかった貴重なそして他では得られない体験であった」と。これからも1人でも多くの子供たちにこんな体験をしてもらえるような場にしていきたいと思っている。

2023-01-30T06:39:53+09:002023年1月29日|

受験生へ「頑張れ」じゃなくて「祈ってる」

昨日今日と大学入試共通テストが行われている。思えば今年の受験生は緊急事態宣言の最中に高校生活が始まり、この三年間をコロナとともに過ごしてきた生徒たちだ。いつか終わると期待していた頃もあったが、いつの間にかウィズコロナが日常になってしまった。今年はインフルエンザの流行もあり、例年以上に緊張して今日を迎えた方も多いかと思う。そんな中ではあっても足繁く自習室に通い、楽しそうに勉強していたヴェリタス25期生たちに講師たちが声を掛ける。「俺の去年の失敗を繰り返すな」「明日終わったらここに来ればいい」「がんばれじゃなくて祈ってる」と。「なんだか自分の時より緊張する」という声も聞こえてくる。頑張ってきた一人一人が、どうか、今まで蓄えてきたこと努力してきた全てを発揮できますように。

2023-01-15T16:18:15+09:002023年1月15日|

感謝と希望

多くの思いがけない出来事に見舞われた2022年、ヴェリタスではおかげさまで、当たり前の日常や自由を他者によって奪われることも、自然の力に壊されることもなく過ごしてくることができた。世の中を見渡せば、それだけで十分に感謝に値すると思う。一方で、決して簡単とは言えない毎日を、生徒も講師も事務も積みあげてきた。中一は小学校卒業前から一回3.5時間の授業、初めての部活との両立、学校では習ったことのない内容を学ぶ困難など、中二、中三はますます難しくなる内容についていけなくなりそうなことも、モチベーション維持が難しかったこともあったと思う。高三は大学受験という大きな壁に日々悩みながら挑んでいる。講師も決して簡単ではない。1時間の授業を作るためにその何倍もの時間をかけて準備をし、どうしたら十分な学びの場を作り出せるか試行錯誤を続けている。事務とて同じだ。年間で行うことはほぼ決まっているにせよ、滞りなく運営するにはさまざまな複雑で繊細さを要求される業務が詰まっている。こうしてそれぞれが立場は違っても、ヴェリタスという場にそれぞれの思いを持って集まり、真剣に過ごしてきた。しかし常に完璧なわけではなく、不注意や心の緩みや多忙さゆえの失敗もある。知らず知らず周りの人を傷つけたり、失望させたり、怒りを買ったこともあっただろう。それについてはこの場を借りて、お詫びしたい。そして同時にその失敗を次に繋げられるように、また、むしろプラスにできるような場にしていきたい。ヴェリタスが目指す学びの形「単に解ければ良いのではなく自分で考えて思いつける」体験は決して一朝一夕に達成されるものではない。難しさゆえに投げ出したくなることもあるかもしれないが、だからこそ達成された時に感じられるもの、得られることは、かけがえのないものとして個々の中に蓄積されていくと思う。子供も大人も、生徒も講師も事務も一人一人が生きている今の時間を大切に、いっときいっときが人生を紡いでいることを忘れずにいたい。澄んだ空気の中で難しい目標に笑顔で向かっていける場、そんな塾を1人でも多くの方々と共に作っていける1年にしたいと思っている。

2023-01-02T03:22:31+09:002023年1月2日|

「感動しました!」に感動しました。

ヴェリタスでは受験コース、基礎コースともに毎年カリキュラム説明会を行っています。先月から今月にかけて、新高3生を対象に3回行いました。毎年行うものではありますが、何をどう伝えるかは、毎年担当する各クラスの講師が考え行っています。塾長の挨拶に始まり、カリキュラムの概要、そしてヴェリタス受験コースの柱となる考え方ややり方を教務から、その後に各クラスからこの一年ををどう過ごすか話し、最後に卒業生から体験談をお話しするという、大変地味な内容ではあります。しかし、限られた時間の中で担当講師のきめ細かな説明と卒業生の実感のこもった体験談に毎回好評をいただいております。先日の説明会に出席された保護者からこんな電話が入りました。「(勉強に)やる気を無くしていた息子を連れて参加して本当によかった。ヴェリタスの先生方の熱心さに感動しました。息子の口からあの先生方とならやっていけそうな気がすると。」と。「説明会に参加して感動しました」と言われたのは、私にとっても初めてのことで「やってよかったな」「先生方の熱意が伝わったのかな」と心が震えました。ヴェリタスがやっていること、やろうとしていることは、「点数につながるメソッドを伝える」ことでも、単に「合格者数を増やす」ことでもありません。たとえ受験であっても「楽しんで」「仲間(講師を含む)とともに気づき、学び合う場」を目指しています。子供は合格実績の数字ではなく、それぞれの人生をそれぞれの条件のもと、それぞれの力で生きている、一人一人違った色を持つ存在です。多くの子供にとって大学受験はその人生において、初めて出会う大きな壁であり、その合格をつかんで欲しいと願っていることも確かです。しかし合格は目標ではなく、あくまでその大切な人生の、成長の過程に過ぎません。ヴェリタスではそのことを忘れることなく、大人の計算に子供を巻き込むことなく、受験期であっても一人一人が「どう学んでいるか」にこだわっていきたいと思っています。最後になりますが、前回更新からあっという間に3ヶ月が経ってしまいました。「今日のヴェリタス」と言いながら、大変申し訳ございません。

2022-12-19T03:03:23+09:002022年12月18日|

何だか楽しそう

ヴェリタスの自習室に通ってくる生徒たちを見ていると、なんだか幸せな気持ちになる。講師が生徒の質問や相談を受けている姿はすでに日常の光景になっているが、中でも受験生が楽しそうに通ってくる姿を見ると、羨ましくもあり、少し不思議な気持ちにもなる。自分の受験期といえば、某予備校に通い英語辞書を丸ごと暗記している名物講師が、端から単語と意味を暗唱するのをテープに録音し、一つでも多く覚えようと四六時中聞いていた。こんなつまらない詰め込み勉強も、当時の自分は「受験期だから仕方ない」と諦めていた。かたやヴェリタスの受験生はどうだろう。受験生なのになんだか楽しそうに集まってきて、なんだか楽しそうに議論して、時には友達の質問に答えたり、下級生の質問に付き合ったり、この余裕はどこからくるのだろうか。もちろん、目に見えない部分でのプレッシャーや大変なこともあるとは思うが、自分もこんなふうに受験期を過ごせたら、と思わずにはいられない。中学生、高校生という多感な時期に、「○◯のため」と半ば諦めて、つまらなかったり、嫌だったりする気持ちを抑えて勉強している子供達がいるとしたら、ぜひヴェリタスにきてほしい。ここには勉強を楽しんでしている仲間や講師がたくさんいる。この学びの空気感を体験した子達は、きっと受験を終えてからも学ぶことを楽しんで続けていけるのではないだろうか。

2022-09-24T08:42:47+09:002022年9月24日|

名著の翻訳に取り組む(英語基礎コース最上位 L5クラス)

2022年度の夏学期のL5クラスでは、その活動の一部として、有名かつ読みやすい短編小説を幾つか選び、参加者がそれぞれ担当箇所を決め、その翻訳を作っていきました。学校の期末テストと時期がかぶるなどして、担当者が訳稿を提出できない場合には、他の参加者が代わりに翻訳したりするなど、皆が助け合って翻訳に挑戦していました。また、授業本番では、各人の訳稿に他の参加者がコメントをしていったのですが、細かい表現にも皆がこだわりを見せ、一語一語を大切にする態度を実践的に学んでいました(授業風景については、写真をご覧ください)。また、学期の後半になりますと、参加者は他人と自分との言語感覚の違いにも敏感に気がつくようになり始め、翻訳対象の文が言いたいことを正確に反映させた上で、どのような表現がもっとも読者の心を打つかといった高度な問題意識にも目覚めていました。翻訳において肝要なのは、作者の意図を決してねじまげてはいけないという意味での制限と、その制限の中で発揮されるべき翻訳者の工夫という意味での自由とが、バランスよく同居していることなのですが、このことを途中から生徒たちもはっきりと理解し始めていたように思われました。この授業で扱った作品は、具体的には、①マーク・トウェイン著『カリフォルニア人物語』、②オー・ヘンリー著『最後の一葉』、③エリス・パーカー・バトラー著『ブタはブタ』、④ワシントン・アーヴィング著『悪魔とトム・ウォーカー』、⑤ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)著『日本海に沿うて』、⑥ジャック・ロンドン著『キーシュ』などです。これらの英米文学における小品(ではあるが粒揃いの作品群) を訳していきました。この成果物は、一冊の冊子にして配布されます。使用テキストはこちら、皆で作った翻訳はこちらからご覧になれます。

2022-08-14T16:22:11+09:002022年8月14日|
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