「物理わかる先生いますか」「⚪︎⚪︎先生、今忙しいですか」ヴェリタスではこんな声が日常的に聞こえてくる。「今から質問に行ってもいいですか」と授業のない日も質問に来る生徒もいる。受付横の講師室の壁には自由に使えるホワイトボードがあり、ヴェリタスを象徴するオープンスペースとなっている。講師も授業準備やら自分のことで忙しいものの、よほどのことがない限り生徒たちの質問に応じる。一緒に問題文を読み、問題の意味を把握するところから「ここはこうなんじゃないか」「なんでこんなふうに考えたの?」など対話が始まる。時には通りすがりの講師や生徒が「なになに?」とのぞきに来る。
わからないことはググればいい便利な時代だが、一方的に「教えられる」「答えてもらう」だけでなく、自分がなぜそう考えたかを聞いてくれる相手の存在によって、互いに自らの考えを別の視点から見直すチャンスを与えられている。「なるほど、君はそんなふうに考えるのか」と。
対話とは、自分自身がまず徹底的に考えてそれを相手と擦り合わせていくことだという。自分(自国)の正義を押し付け、それに反するものを排除する対話なきやり取りがいつの間にか大きな戦争に発展している昨今、ヴェリタスに集う子供たちには、さまざまな人たちとの対話の体験を積み重ねていってほしいと願わずにはいられない。まずは今日の疑問をそのままにせず、講師に友達に問いかけてみよう。