今日のVERITAS

集ひて学ぶ

4月27日(日)の午後、日曜勉強会を開催した。日頃から授業中はもとより自習室や相談員を気軽に質問できる環境を提供しているつもりではいるが、なかなか足を運ぶのが難しい生徒たちが、一人でも多く集まってくれたらと思い企画した。参加希望者はあっという間に定員に達し、これ以上になると来た人が質問できなくなってしまいそうなところで仕方なく予約を打ち切った。当日は開始時刻前から次々と人が集まり、それぞれ持ってきた課題に取り組んでいた。一人で静かに勉強したい人は特別自習室、質問したい人は第七教室、飽きてしまった人、勉強以外の相談をしたい人は受付横の講師室に、と場所を分けて行う。質問は特に数学が多かったが、英語のエッセイや理科の質問など授業以外の質問にも熱心に応える講師やTAたち。それぞれ別の課題に取り組み、そこかしこで学びと学び合いの渦が生まれ、教室全体が熱気で包まれていた。うーん、これぞヴェリタス。「学んでるんだか遊んでるんだか」「どっちが講師でどっちが生徒?」。ヴェリタスに来るとここは塾?それとも?と思われる光景が散見される。今日も講師が勝手に企画した「源氏物語を語る会」が開催され、講師の「好き」と「熱意」あふれる話にしばしタイムトリップ。春休みには「哲学カフェ」が開かれ中学生から社会人までが車座になって「あこがれ」をテーマに想いを交わす。夜中まで展開される数学談義もまた然り(これは講師です)。漢文を嗜んでいるわけではないが「集而學之、不亦愉乎」(集ひてこれに学ぶ、また愉しからずや)ふと心に浮かんだ。

2025-05-04T07:16:19+09:002025年5月4日|

相談室を再開しました

ヴェリタスでは兼ねてから学習相談室として、受講生により近い存在の先輩やヴェリタスの卒業生に学習や学校生活の相談に乗ってもらう場を設けてきた。コロナ禍で対面での接触が難しかったことがあり、一時はオンラインで行ってきたが、10月中旬より、2号館3階受付横の講師室の一角に「相談員コーナー」を設け、毎日相談員を置いて試運転を開始した。すでに質問や相談に訪れた生徒も多数。質問大歓迎のヴェリタス育ちの卒業生ということもあり、安心して疑問を持ち出せる。相談員は主にヴェリタスを卒業した大学生、大学院生。生徒との距離も近く、丁寧に教えてくれる。受講している授業の質問はもちろん、学校の課題などの相談にも乗れるのでぜひ大いに活用してもらいたいと考えている。

2024-11-20T19:54:24+09:002024年10月31日|

ホームとなる塾に

8/24(土)ヴェリタスの卒業生を招き、ホームカミングデーを行った。現役大学生の座談会に始まり、研修医、社会人それぞれの高校時代の過ごし方や、現在の大学の様子、就職先でヴェリタスでの学びがどう生かされているかなどを話してもらった。参加した生徒や保護者も興味津々。「模試の成績がなかなか上がらないがどうしたらいいか」「受験勉強へのモチベーションはどうやって維持したか」「高校時代の時間の使い方は」など具体的な質問にも一つ一つ丁寧に答える。一方、社会人からは「ヴェリタスだからこそ得られる”なぜ?”を問う力、あきらめずに考え続ける力、一緒に考えてくれる仲間を大事にして欲しい。」「”今”がどんな”未来”に化けるかはわからない、だから”今”に集中してきた結果が、現在につながっている。」という心強いメッセージをいただいた。会後の個別相談も卒業生の周りに参加者が集まり、真剣に話し込む。『(ヴェリタスは)みんなで「こうじゃないか」、「いや、ああじゃないか」 とみんなのなぜを突き詰めたければ、突き詰めたいだけ、突き詰めさせてくれるところ 』(上田さんの発表から)これがヴェリタスだなと感じた1日だった。

2024-08-29T23:57:19+09:002024年8月29日|

「こんな塾が欲しかった」

「大学受験にあたって理論から学べる塾を探していた」先日行われた受験科説明会のアンケートに書かれていた高校2年生の言葉。「高三で受験に全てを費やすのは僕はもったいないと思う」昨年受験をしたヴェリタス卒業生の言葉。京大前総長 山極寿一氏は「難関大目指し競わせる高校でいいのか」と義務教育、高校教育のあり方を問う(14日朝日新聞『科学季評』)。2022年の文科省の調査によると、不登校の小・中学生は前年比22%増の約30万人、高校生は19%増の6.5万人。一方、フリースクールは卒業しても大学資格はなく授業料免除もないが、すでに全国で一千校以上あり年々増える状況だという。「大学進学よりむしろ好きなことを自由にできる環境を選ぶ子どもたちが増えているのではないか」と。受験にあたって理論から学びたい、高三を受験だけに費やすのはもったいない、自分が好きなことを実現するには今の制度は合わない。子供達はすでに気づき発信し、行動を始めているのではないだろうか。折しも12月10日のAERA .dotにQuizKnockの伊沢拓司さんのインタビュー記事が載った。以前ヴェリタスの受講生だった伊沢氏、ヴェリタスの英語は「哲学の授業みたいだったけど面白かった」と語る。ヴェリタスはその創設から、講師たち自身が中高生のころを振り返り「こんな塾が欲しかった」と言う思いを形にしてきた塾だ。これからも人が自然に抱くはずの「なぜ?」に蓋をすることなく、各自の疑問や気づきを解き放ち、受け入れ、広げていける塾でありたい。

2023-12-21T14:19:41+09:002023年12月20日|

対話

「物理わかる先生いますか」「⚪︎⚪︎先生、今忙しいですか」ヴェリタスではこんな声が日常的に聞こえてくる。「今から質問に行ってもいいですか」と授業のない日も質問に来る生徒もいる。受付横の講師室の壁には自由に使えるホワイトボードがあり、ヴェリタスを象徴するオープンスペースとなっている。講師も授業準備やら自分のことで忙しいものの、よほどのことがない限り生徒たちの質問に応じる。一緒に問題文を読み、問題の意味を把握するところから「ここはこうなんじゃないか」「なんでこんなふうに考えたの?」など対話が始まる。時には通りすがりの講師や生徒が「なになに?」とのぞきに来る。 わからないことはググればいい便利な時代だが、一方的に「教えられる」「答えてもらう」だけでなく、自分がなぜそう考えたかを聞いてくれる相手の存在によって、互いに自らの考えを別の視点から見直すチャンスを与えられている。「なるほど、君はそんなふうに考えるのか」と。 対話とは、自分自身がまず徹底的に考えてそれを相手と擦り合わせていくことだという。自分(自国)の正義を押し付け、それに反するものを排除する対話なきやり取りがいつの間にか大きな戦争に発展している昨今、ヴェリタスに集う子供たちには、さまざまな人たちとの対話の体験を積み重ねていってほしいと願わずにはいられない。まずは今日の疑問をそのままにせず、講師に友達に問いかけてみよう。

2023-12-06T09:19:07+09:002023年12月5日|

異文化と童心

発端は先日、英語科講師の数人で連れ立って、いたばし花火大会に出かけた時のことである。俳句歴七年目の俳人の端くれである私は、「花火」と聞けば即俳句モードに入る(花火は夏の季語である)。当初、私は自分だけこっそり作って満足するつもりだったのだが、周りの講師に俳句を作ることを伝えると、瞬く間に皆で俳句を作る話になったのである。私以外は皆全くの素人ということで、皆が二、三句作ってみて、私がそれらの句を添削する、某番組のような会になった。そしてこれがまさかの好評。この戯れに味を占めた我々は第二回を開催すべく、講師室にかき氷機を持ち込んだ―― そして本日のかき氷俳句大会である。俳句を詠むならばかき氷が食べられる、というアグレッシブなレギュレーションにも拘らず、講師・生徒の垣根をまたいで前回以上の参加者が訪れた。ある英語講師などは花火の時の反省を活かすべく、俳句の入門書まで購入して武装してきたのには全く驚いた。かかる努力の成果もあり、私を含め皆悪戦苦闘しつつも、結果的には前回の倍近い句が発表され、実りのある会になった。その格闘の一方で、かき氷だけ食い逃げする不埒な大人が居たのも事実だが。 私はしばしば、VERITASというコミュニティに属する人間の「異文化」に対する受容力と貪欲さに驚かされる。ここでの「異文化」とは、各個人がそれまでの人生で触れることのなかった分野のことだ。言い換えれば「不案内な領域」であろうか。学校の勉強内容や受験対策としての勉強内容も「異文化」に含まれるといってよい。VERITASの人間はこの「異文化」に対する悪い意味での抵抗が殆どないように思えるのだ。普通なら私が人に俳句を作ることを伝えても、概ね興味を示されないうちに話題が変わる。花火大会を前に「じゃあ試しに一句作ってみるか」と、得体のしれない詩の世界に挑戦してみるなどあり得ないというのが、長年俳句布教の難航に悩んできた私の所感だ。本来であればかき氷だけ食い逃げするのが当たり前であり、あろうことか自発的に俳句を勉強してくる方が酔狂なのだ。「異文化」との間には程度の差こそあれ、それなりに高い壁があるのである。しかし、VERITASにはそんな壁はない。「異文化」に接する態度が恐ろしくポジティブで、かつ誠実である。これはきっと、年をとるにつれて薄れていきがちな、純粋で原初的な知的好奇心を保ち続けているからであろう。この姿勢を一言で表すなら「童心」ではないか。童心を存しているか否かで、日々の心の豊かさは大きく変わる。知的な喜びの根源であると同時に、経年劣化に弱いその姿勢を、VERITASは忘れていない。(英語科 佐々木)

2023-08-11T17:21:43+09:002023年8月11日|

横にいる友と

受験生にとって、春からやってきたことの結果が目に見えて出はじめる時期になった。思うようにいかず、自分の勉強の仕方が間違っているのかと悩みに陥る人も多い。こうした悩みは人それぞれで、他の人と共有することがとても難しい。 自分みたいなおせっかいな講師は、ついつい声をかけて相談に乗りたくなる。しかし、生徒を本当に支えているのはそういった直接の相談ではない。 授業のない時間、ふとした瞬間に、半分雑談のように、最近の悩みや、分からないことを話す。講師と生徒の区別なく、自然に会話が発生する。そうした空気感の中で、自分の悩みを相対化できることが、打開につながっているのだ。他の受験生が何に悩み、どう闘っているか。ヴェリタスの外に出てみると、これを知る機会は意外と多くないと気づく。 結局自分に合ったやり方というのは、自分にしか見つけられない。講師として、先輩として、その助けになれればと思う。でも本当に必要なのは、前で導く人の言葉ではなく、横にいる人たちの姿だ。(U4担当 佐々木)

2023-06-08T15:25:27+09:002023年6月8日|

分からないことがゼロになるまで話せる友を

1月22日を皮切りに、来年度基礎科のカリキュラム説明会が始まった。3月からの入塾に向けて、小学校卒業前から中学入学後そして将来を見据えた塾選びのために、足を運んでくださる保護者の方々には敬意と感謝の気持ちが湧いてくる。限られた時間の中で何をどのように感じていただけるか、を考えるのは授業も説明会も変わりはない。自分は他塾の説明会を主催したことはないので比べることはできないが、少なくともヴェリタスでは、講師の発する言葉や態度、会場の雰囲気などから、私たちが日頃から大切にしている「率直さ」「誠実さ」「等身大さ」を感じていただけるものでありたいと思っている。分からないことを「分からない」と言える教室、各自の疑問を誤魔化さず納得するまで追究できる仲間、そして自分を大きくも小さくも見せずありのままを受け止め、そこからスタートする習慣を身につけることなど。たかが塾、されど塾。“受験にどんな手段を使っても構わないか”“合格のためならこの一年を棒に振ってもいいのか”“わけがわからなくても丸暗記して合格点が取れれば良いのか”。一つでも「否」という答えが心に浮かぶ人はヴェリタスにきっと向いているはずだ。中学生、高校生という人生で最も自由に過ごせるはずの時期に「合格率」や「偏差値」など「数」を上げるためだけに時間を使わせて良いのだろうか。今回の説明会でも卒業生に体験談を話してもらった。ヴェリタスに入って一番良かったことは「わからないことがゼロになるまで何十時間でも話せる友達に出会えた」こと、そんな友達とは「勉強で真剣に話し合えるからこそ人生についても真剣に話し合える」と話してくれた。その上で「真剣に話し合ったからといって成績が飛躍的に伸びるわけでも、難関大学の合格が保証されるわけでもない、それでもここでしか得られなかった貴重なそして他では得られない体験であった」と。これからも1人でも多くの子供たちにこんな体験をしてもらえるような場にしていきたいと思っている。

2023-01-30T06:39:53+09:002023年1月29日|

受験生へ「頑張れ」じゃなくて「祈ってる」

昨日今日と大学入試共通テストが行われている。思えば今年の受験生は緊急事態宣言の最中に高校生活が始まり、この三年間をコロナとともに過ごしてきた生徒たちだ。いつか終わると期待していた頃もあったが、いつの間にかウィズコロナが日常になってしまった。今年はインフルエンザの流行もあり、例年以上に緊張して今日を迎えた方も多いかと思う。そんな中ではあっても足繁く自習室に通い、楽しそうに勉強していたヴェリタス25期生たちに講師たちが声を掛ける。「俺の去年の失敗を繰り返すな」「明日終わったらここに来ればいい」「がんばれじゃなくて祈ってる」と。「なんだか自分の時より緊張する」という声も聞こえてくる。頑張ってきた一人一人が、どうか、今まで蓄えてきたこと努力してきた全てを発揮できますように。

2023-01-15T16:18:15+09:002023年1月15日|

感謝と希望

多くの思いがけない出来事に見舞われた2022年、ヴェリタスではおかげさまで、当たり前の日常や自由を他者によって奪われることも、自然の力に壊されることもなく過ごしてくることができた。世の中を見渡せば、それだけで十分に感謝に値すると思う。一方で、決して簡単とは言えない毎日を、生徒も講師も事務も積みあげてきた。中一は小学校卒業前から一回3.5時間の授業、初めての部活との両立、学校では習ったことのない内容を学ぶ困難など、中二、中三はますます難しくなる内容についていけなくなりそうなことも、モチベーション維持が難しかったこともあったと思う。高三は大学受験という大きな壁に日々悩みながら挑んでいる。講師も決して簡単ではない。1時間の授業を作るためにその何倍もの時間をかけて準備をし、どうしたら十分な学びの場を作り出せるか試行錯誤を続けている。事務とて同じだ。年間で行うことはほぼ決まっているにせよ、滞りなく運営するにはさまざまな複雑で繊細さを要求される業務が詰まっている。こうしてそれぞれが立場は違っても、ヴェリタスという場にそれぞれの思いを持って集まり、真剣に過ごしてきた。しかし常に完璧なわけではなく、不注意や心の緩みや多忙さゆえの失敗もある。知らず知らず周りの人を傷つけたり、失望させたり、怒りを買ったこともあっただろう。それについてはこの場を借りて、お詫びしたい。そして同時にその失敗を次に繋げられるように、また、むしろプラスにできるような場にしていきたい。ヴェリタスが目指す学びの形「単に解ければ良いのではなく自分で考えて思いつける」体験は決して一朝一夕に達成されるものではない。難しさゆえに投げ出したくなることもあるかもしれないが、だからこそ達成された時に感じられるもの、得られることは、かけがえのないものとして個々の中に蓄積されていくと思う。子供も大人も、生徒も講師も事務も一人一人が生きている今の時間を大切に、いっときいっときが人生を紡いでいることを忘れずにいたい。澄んだ空気の中で難しい目標に笑顔で向かっていける場、そんな塾を1人でも多くの方々と共に作っていける1年にしたいと思っている。

2023-01-02T03:22:31+09:002023年1月2日|
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