国語科基礎コース 全16回

はじめに

誰もが国語の力は必要だと思っている。
しかし、多くの人が数学・英語に勉強時間のほとんどを費やす。

これが、皆さんの現実ではないでしょうか。
この基礎国語コースでは、週2時間半という時間の中で、将来必ず必要となる

  • 制限時間の中で「他者」の言葉を理解する読解力
  • 大集団の中で埋没することのない表現力

を身につけてほしいと思っています。

基礎国語コースは古典(古文・漢文)と現代文・小論文のセクションに分かれています。
この講座は、年に二回、夏学期(4~7月)と冬学期(9~12月)に同様のカリキュラムで開講します。

開講日

古漢
2024年4月6日(土)
以後毎週土曜日 14:00~
現小
2024年4月6日(土)(予定)
以後毎週土曜日 15:15~

古典(古文・漢文)セクション

古文・漢文を読むとき、何となくわかるのだけど正確には読めないということが多くあります。古文・漢文はそもそも日本語なので、本来感覚的に読めるものです。しかし、古典の世界の言葉や文法は、今現在の私たちが使っているものとはかなり異なります。だから何もしないままでは「何となくしかわからない」のです。その読めない部分を読めるようにするには、私たちの世界とは時間的に隔たった古典の世界のルールである文法を身に付けていくしかありません。

1. 必要最小限の労力で最大限の効果を

呪文を唱えるかのように暗記を繰り返しても、文法の修得には大変な時間がかかります。
しかし、例えば、「未然形+ば=仮定条件」「已然形+ば=確定条件」という公式が成り立つ理由を考えてみます。「未然」「已然」それぞれの言葉の意味が、
・未然=未だ然らず(いまだしからず)=まだそのようになっていない(事態未成立)
・已然=已に然り(すでにしかり)  =すでにそのようになっている(事態成立)
であることを理解すれば、どちらが「仮定」でどちらが「確定」になるのかは明白です。さらに、この原理を応用すれば、助動詞や助詞の意味と接続の関係も理解しやすくなります。このように原理から文法を考えていくことで、必要最低限の労力で多くの文法事項を蓄積することができます。

2. 解釈のための文法を身に付ける

そして最も大切なことですが、文法とは、あくまでも文章を読むための道具です。フォークとナイフを揃えても、練習しなければ上手に食べることができないように、文法事項も、それを上手に使いこなさなければ文章を読むことはできません。このセクションでは、蓄積した文法事項を使って実際に文章を読み進めること、解釈のための文法を身に付けることを目標とします。

週数 古文
9月 1 1 古文学習入門/主語述語で文章を考えてみる/活用形の意味
2 2 文章の要-述語-を発見するために(1)
3 3 文章の要-述語-を発見するために(2)
4 4 文章の要-述語-を発見するために(3)
10月 5 5 長い-文を短くする方法-接続助詞の用い方-
6 6 文章の要-述語-を正確に理解するための方法・助動詞(1)
7 7 文章の要-述語-を正確に理解するための方法・助動詞(2)
8 8 文章の要-述語-を正確に理解するための方法・助動詞(3)
11月 9 9 手に入れた道具を使って文章を正確に読む(1)
10 10  手に入れた道具を使って文章を正確に読む(2)
11 11 文章の要-述語-を正確に理解するための方法・敬語
12 12 手に入れた道具を使って文章を正確に読む(3)
12月 13 13    漢文学習入門/漢文を読むために必要な知識・句法(1)
14 14    漢文を読むために必要な知識・句法(2)
15 15    漢文を読むために必要な知識・句法(3)
16 16    手に入れた道具を使って文章を正確に読む

現代文・小論文セクション

「文章を読み他者の考えを理解する」
「自分の意見を文章にして他者に理解してもらう」

一見、簡単そうに思えることですが、「模範解答と自分の解答が食い違う」、「自分の書いた文章をわかりにくいと言われる」。誰もが経験することです。しかし、大部分の人がその「食い違いの理由」も「わかりにくい理由」も、何となく納得できないけど「まあいいか」と曖昧に流してきてしまったと思います。ここにこそ、国語力低迷の最大の理由があるのです。自分の弱点も納得できないまま、実力を伸ばすことなどできるわけがありません。このセクションでは、「一つの答え」を模範解答として押し付けるのではなく、納得のいくまで「質問し続けられる」「考え続けられる」場を提供したいと思っています。

1. 正確な読解力

同じ日本語を使っていても、他者と自分とでは性格も考え方も大きく異なります。例えば「犬」という単語一つとっても、犬が好きな人・怖い人・噛まれたことがある人、で受けとめ方は様々ですし、それが自然なあり方です。しかし、作者が文章で発信するメッセージは「1つ」です。その「1つ」に到達しなければ文章を読んだことにはならないし、どんな感想もただの妄想に過ぎません。

では、正確に理解するためには、どのような目線を文章に向ければいいのでしょう。例えば、「問題提起→考察→結論」という展開の骨組み、接続詞・具体例などの作者が散りばめる記号、そのような文章の共通ルールに目を配ること。授業では、このような最も基本的なことからスタートします。

2. 強固な表現力

自分が書いた文章も、十人十色の読まれ方をする可能性があります。自分の意見を相手に正確に理解してもらうためには、皆さん自身が、文章展開のルールに則って、的確な表現を選びながら、文章を書く必要があります。このセクションでは、実際に皆さんに自分の意見を文章にしてもらい、添削指導を行うことで、表現力を高めてもらいます。

週数 テーマ一覧
9月 1 どう読むのか 1 具体と抽象
2 2 同格関係
3 3 主張の型を知る
4 4 逆説という方法
10月 5 5 全体へ読みつなぐ
6 6 要約の方法
7 7 帰納的な方法
8 8 演繹的な方法(1)
11月 9 9 演繹的な方法(2)
10 読んで考える 1 新しい民族問題
11 2 近代化学の陥穽(1)
12 2 近代化学の陥穽(2)
12月 13 3 近代と民主主義(1)
14 3 近代と民主主義(2)
15 4 人間の条件(1)
16 4 人間の条件(2)