『英会話不要論』(行方昭夫、文春新書、2014年)
私は文京区本郷にあるヴェリタスという塾で英語を教える仕事をしている。授業スタイルそれ自体は、さして変わったところもない。誰にでもすぐに分かる明快な構造の授業設計ばかりをしている。まずは英文で書かれた難しい文章を用意し、毎週担当範囲を決めて参加者に、①訳出してもらい、②文法解説と、③内容解説までしてもらっている。①訳出→②文法検討→③内容検討というループを教室内に発生させ、全員で発表者に質問をしながら回しているのである。そして①→②→③のループを何度も何度も繰り返す。たまに脱線で与太話が生じたり、適宜、英語文法復習タイムを設けたりもしているが、基軸となるのはこのループだけである。そして、④英作文の課題を毎週、お題を決めて提出してもらっており、私がコメントを書き込んで返却していく時間もとっている。…